今この記事をお読みになっているあなたは
「なぜv6プラスを適用するとインターネットの通信速度が速くなるの?」
と、その仕組みを調べていることかと思います。
v6プラスによる通信高速化メリットの仕組みは、以下の2つの通信技術により支えられています。
- IPv6 IPoE
- IPv4 over IPv6
この記事では上記の2つの通信技術について、ざっくりとそれぞれ特徴をまとめてみました。
目次
「IPv6 IPoE」とは?
NGN IPv6 ISP接続<ネイティブ方式>サービス仕様書
「IPv6 IPoE」とは、自宅のブロードバンドルーターとフレッツ回線網を結ぶための接続方式の一種です。
NTT東西はこの接続方式を別名、「ネイティブ接続」とも呼んでいます。
参考リンク
「IPv6 IPoE」の特徴
IPv6 IPoEは、従来型の接続方式(IPv4 PPPoE)とはまったく異なる特徴をもっています。
それは、プロバイダから払い出されるIDとパスワードをインターネット接続にまったく使用しないという特徴です。
つまり、自宅のブロードバンドルーターに対して認証情報を手動で設定する必要がないということです。
イメージとしては、フレッツ回線網の方からインターネット接続に必要な認証情報が勝手に流れ込んでくるという感じですね。設定いらずで、とっても楽ちんです。
そしてこの「IDやパスワードをインターネット接続に使用しない」という特性から、従来型のPPPoE接続で使用されていた通信設備(認証サーバーなど)を経由する必要がありません。
「IPv6 IPoE」のメリット
IPv6 IPoEのメリットは、上記の特徴から派生したものになります。
ここでちょっと思い出してほしいのですが、夜間にインターネット接続が遅くなった経験はありませんか?
夜間にインターネットが遅くなる原因はずばり、Youtubeなどの利用者が殺到して通信設備が混雑するいわゆる「ゴールデンタイム」の時間帯だからです。
さてIPv6 IPoEは上述の通り、従来型のPPPoE接続とは異なる通信設備を経由することになります。
ということはつまり?
そう、混雑しにくい経路を選んでインターネット接続をすることができるようになります。
このため、IPv6 IPoEは通信速度が高速・安定になりやすいというメリットがあります。
「IPv6 IPoE」のデメリット
IPv6 IPoEのデメリットは、これといって特にありません。
処理負荷が低い軽快な接続方式なので、IPv6 IPoEは基本的にメリットばかりです。
しかし、IPv6 IPoE接続の使用には「制約」があります。
それは、通信先のWebサーバーがIPv6パケットに対応している必要があるという制約です。
現在のインターネットというものはほとんどが「IPv4パケット」のサイトによってのみ構成されているため、まだまだ従来型の接続方式(IPv4 PPPoE)との併用を余儀なくされるシーンが多いのが現状です。
ちなみに僕がこの記事を書いているブログサービス(はてなブログ)もIPv4パケットにしか対応していません(2018年現在)。
IPv6 IPoEによる通信高速化のメリットを享受することができるインターネットサイトは、残念ながらあまり多くないのです。
IPv6に対応したWebサイトは以下の記事でまとめています。
参考リンク
「IPv6 IPoE」の参考リンク集(技術者向け)
IPv6 IPoEの仕組み(仕様)を詳細に解説するサイトを以下にまとめました。
参考リンク
「IPv4 over IPv6」とは?
IPv4 over IPv6とは、パケット形式を変換する技術の一種です。
IPv4 over IPv6は別名として、
- MAP-E
- DS-Lite
- 6rd
- IPv6ハイブリッド
- デュアルスタック
- SAM(Stateless Address Mapping)
などなど、様々な呼ばれ方をされるときがあります。
しかし多少の仕様差異はあれ、基本的に指しているものは概ね同一のものです。
「IPv4 over IPv6」の特徴
IPv4 over IPv6では、旧世代の通信パケット(IPv4形式)を新世代の通信パケット(IPv6形式)に変換します。
これを通信用語的に言うと「カプセル化」と呼びます。
そしてこのIPv4 over IPv6でカプセル化された通信パケット(IPv6)は、通信先のWebサーバーに到達する直前のゲートウェイでカプセル化が解除され、再び旧世代の通信パケット(IPv4形式)へと元通りになります(非カプセル化)。
「IPv4 over IPv6」のメリット
IPv4 over IPv6では、IPv4形式の通信パケットをIPv6形式の通信パケットと見せかけて通信することができます。
ということはつまり?
上述の「IPv6 IPoEのデメリット」を克服できるということです。これがIPv4 over IPv6のメリットです。
「IPv4 over IPv6」のデメリット
IPv4 over IPv6のデメリットは、IPv4 over IPv6に対応したブロードバンドルーターの用意が必要な点でしょう。導入コストがちょっとだけかかります。
とはいえ、対応ルーターはコスパの良い機種で5,000円台から買えるので特段大きなデメリットにはならないでしょう。
IPv4 over IPv6に対応した市販ルーター機器は以下の記事でまとめています。
「IPv4 over IPv6」の参考リンク集(技術者向け)
IPv4 over IPv6の仕組み(仕様)を詳細に解説するサイトを以下にまとめました。
参考リンク
- IPv4 over IPv6(ALAXALA Networks)
IPv4 over IPv6トンネルは,IPv4パケットをIPv6によってカプセル化することでIPv6ネットワーク上にIPv4パケットが通信できる回線を仮想的に設定する機能です。トンネルの仮想インタフェースでは,IPv4パケットをIPv6でカプセル化し,またIPv6パケットでカプセル化されたIPv4パケットを元に戻します。 - DS-LIte(ITpro 日経BP)
- IPv4/IPv6 移行・共存技術の動向
- デュアルスタック、トンネリング、NAT――IPv6とIPv4の共存方法(@IT)
- NTT NGNネイティブ方式上でIPv4 over IPv6提供へ:Geekなぺーじ
6rdは既存のIPv4網上にIPv6パケットを流すためのトンネル技術です。 SAMは、6rdの「逆」バージョンです。 IPv6網上にIPv4パケットを流すためのトンネルをステートレスに運用するのがSAMです。
SAMでは、ステーテレスにカプセル化処理が行われるので、設備投資が軽減されるとともに、ステートフルな方式と比べると運用も簡素化されるという利点があります。 - DS-LiteでIPv4してみませんか?(てくろぐ)
- フレッツ光、200Mbpsコースなのに1Gbpsになる方法が!?IPv6で意外なメリット(Internet Watch)
従来のIPv4のPPPoE環境にIPv6環境を付け足すのとは逆のアプローチであり、IPv6 IPoEで提供するIPv6ネットワーク上に、トンネリングによってIPv4通信を重畳する仕組みだ。
v6プラス(IPv6 IPoE+IPv4 over IPv6)のメリットイメージ図
冒頭の繰り返しになりますが、v6プラスはIPv6 IPoEとIPv4 over IPv6の複合技術です。
そのため、IPv4形式のWebサイトでもIPv6 IPoEの高速化のメリットを享受できるようになります。
その仕組みについては以下のイメージ図にまとめてみました。
※v6プラスの経路は三本の線のうちの真ん中です。